賃貸物件の管理費とは?知っておきたい基本と相場を徹底解説

公開日:2024/01/01  

賃貸物件を借りると、借り主はオーナーに対して「管理費」というものを支払わなければいけません。納得できる物件契約を結ぶためには、ふだん見過ごされがちなこの管理費についても、借り主は理解しておくことが必要です。この記事では、管理費の相場や、管理費込みで家賃を支払う場合のデメリットなどについても説明します。

賃貸物件の管理費とは?

賃貸物件に入居すると、家賃のほかに管理費の支払いが必要です。たとえばその内訳は、駐車場、駐輪場やごみ置き場などの共有施設の清掃費、損害賠償や火災に関する保険料、エレベーター関連の点検費や保険料、廊下やエントランスの清掃費、電球代などです。

これらの実際の作業は、不動産の管理会社に委託されることがよくあります。

家計の負担にならないようにする

管理費は、問題があったときに集められるものではなく、必要なときにすぐに使えるように毎月積み立てられるお金です。家賃と同様に毎月の支出になるので、家計にとって影響のない範囲で管理費も抑える必要があります

管理状態のわりに費用が高すぎると感じる場合などは、その物件については契約を思いとどまることも選択肢のひとつです。

自分にとって無理のない家賃と管理費を知る

賃貸物件で無理なく生活するには、住宅関連の費用は、手取り収入の3分の1以内にする必要があるといわれています。物件探しをするときには、家賃と管理費の合計が、この範囲に収まることを目安にするとよいでしょう。

賃貸物件の管理費相場

管理費の一般的な相場は、家賃の5%から10%です。たとえば家賃が10万円の物件の場合、管理費の相場はおおよそ5,000円から1万円の間となります。ただ明確なルールがあるわけではなく、管理費をどう設定するかはオーナーに任されています。

相場にあてはまらない管理費もある

管理費の相場は、物件の築年数や立地、提供される設備によっても左右されます。家賃の5%から10%の範囲に管理費は収まることが多いのですが、都市部にある好立地の賃貸物件やセキュリティが万全なマンションなどでは、管理費はさらに大きくなることもあります

こうした物件には、広々とした共有スペースや常駐のコンシェルジュなど、他よりも充実したサービスと設備が提供されていることが多いからです。高級物件では、管理費が数万円になることもあります。

自主管理の物件なら管理費は安くなる

マンションのなかには、オーナーの方々が管理組合を結成し、協力してメンテナンスや点検を行っているところもあります。こうした体制のことを「自主管理」と呼びます。

自主管理の物件では、保全作業は管理会社に委託されず、オーナーで結成された内部の管理組合自らがそれをします。そのため、管理費を低く抑えることが可能です。

管理費が低く抑えられることは、オーナーだけでなく、マンションを借りる人にとっても大きなメリットとなります。

自主管理の物件は全体の9%しかない

しかしすべての業務を管理組合で行っている物件は、実際にはわずかしかありません。国土交通省が平成30年に行った調査によると、全国で自主管理をしているマンションは、全体のわずか9%にすぎないという報告もあります

それに対し、業務の一部を管理会社に委託している物件は11%、全業務を委託しているものは74%にのぼります。自主管理の物件を見つけるほうが難しいといえるでしょう。

管理費は安心のサービスを保証するものだと考える

毎月の管理費が大きくなることは、借り主にとって大きなデメリットです。しかし管理会社は、さまざまな専門的知識をもっているため、事故などの緊急事態や不測の故障にも適切に対応できます

快適で安心できる住環境が保証されるのであれば、管理費が少々割高な物件であっても、入居を検討してみる価値はあるでしょう。

賃貸物件の管理費に関する注意点

賃貸物件のなかには、管理費がゼロというケースもあります。お得に感じますが、こうした契約はよくチェックすることが必要です。

なぜなら、管理費ゼロの場合、管理費が上乗せされた形で家賃が設定されていることが多いからです。つまり家賃が10万円で管理費がゼロの物件があったとしても、本来の家賃は9万円だったというケースもあります。

家賃のみ管理費ゼロの契約にはデメリットもある

管理費を別途請求される場合と、管理費が加算された家賃を請求される場合とでは、毎月の支払額に差はありません。しかしいくつかのケースでは、管理費がプラスされた家賃を設定されるほうが、借り手にとっては支出が大きくなることもあります

入居時と契約更新時に損をすることがある

管理費込みの家賃で契約した場合、借り手にとって不利になるのは入居時や契約更新時です。このとき、借り手は少々割高な支払いを求められることになります。

なぜなら敷金、礼金、業者への仲介手数料、更新料などは、1ヵ月の家賃をもとに算出されるからです。管理費が家賃のなかに組み込まれている場合、その分だけ借り手が支払う金額は大きくなります。

数万円程度の差ではありますが、費用をできるだけ低く抑えたいのであれば、管理費込みの家賃契約は避けるほうが無難です。

まとめ

毎月支払うものですから、契約前に、管理費にも注意をすることは欠かせません。管理費を判断するうえでのポイントは、毎月無理なく支払える金額かどうか、そして提供されるサービスに見合う額かどうか、などでしょう。管理費が加算された家賃が設定されている場合は、契約の節目で予想外の出費につながることもあります。これらを理解したうえで、契約書の内容をよく確認し、満足できる賃貸物件選びをしましょう。

WRITER沢野圭太
埼玉県出身。不動産歴6年。
宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナーとしての視点で不動産情報を日々発信しています。
自身も不動産屋として接客の経験を持ち、本当に求められる安心できる不動産屋情報の発信に努めています。

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