敷金・礼金とは?知っておきたい相場と返金されるケースについて解説
住居を借りるときは、敷金・礼金を支払うのが一般的です。本記事では、敷金・礼金とはどんな目的があって支払う費用なのか解説するとともに、金額の相場や返還条件をお伝えします。入居や契約時の注意点もあわせてご説明しますので、これから賃貸契約される方はぜひ参考にしてください。
敷金・礼金とは?初めての賃貸契約でも理解できる基本を解説
敷金・礼金とは、家賃や仲介業者への報酬(仲介手数料)、火災保険料などとともに賃貸契約を結ぶ際に支払う初期費用です。
ここではまず、敷金と礼金の基本を解説します。
敷金とは?
敷金とは、家賃が未納であったり、借主に責任がある修繕が必要になったりしたときに備えて、借主が貸主(大家・管理会社など)に預けておく費用です。
家賃の滞納や修繕費が必要になれば、預かった敷金の中からマイナスされます。どういった場合に返金となるかはのちほどお伝えしますが、退去の際に家賃未納や修繕などの問題がなければ、全額返金されるのが一般的です。
礼金とは?
礼金とは、貸主に対する「貸してくれてありがとう」という意味を込めたお金です。
敷金と違い定められた使途はなく、基本的に借主に返金されることはありません。
敷金・礼金の相場って?適正な金額を把握するためのポイント
敷金・礼金の相場は、それぞれ敷金が家賃の1〜2か月分、礼金が家賃1か月分が目安となります。国土交通省の「令和4年度 住宅市場動向調査報告書」では、敷金があった世帯(58.7%)のうち、1か月分が64.9%、2か月ちょうどであったのが25%でした。
また、礼金があった世帯(44.8%)では、1か月ちょうどであったのが69.4%となっています。
付加価値があると高くなる場合もある
敷金や礼金は、付加価値がある物件を賃貸する場合は高くなる傾向にあります。
たとえば、ファミリー向けに面積が広く取られていたり、戸建て物件であったりすると、家賃3か月分以上になったり、ペット飼育可能の物件でペットを飼うと、家賃の2か月分以上となる場合もあります。
敷金・礼金を取らない物件もある
なるべく多くの借り手を募集するために、最近では敷金・礼金を取らない物件も増えています。
ただし、短期で解約すると違約金が発生したり、退去時に「ルームクリーニング代」が必要になったりと、敷金とは別の形で費用を負担するケースも多くあります。
敷金・礼金ゼロでも実質的に負担金額は変わらなかった、という場合も。初期費用の安さにつられて契約するのではなく、事前に借主の負担について確認することが重要です。
最後に、敷金・礼金の返金が行われるケースについてお伝えします。敷金の返還条件は、契約・入居の際に注意すべき点もあるので、これから賃貸契約を結ばれる方はぜひ参考にしてください。
敷金の返還条件とは?
敷金は、未納家賃や修繕費用などを清算して残金があった場合に返還が行われます。
ここでいう修繕費用とは、借主によって住居に生じた損傷の修繕にかかるお金で、意図せず傷つけてしまったかどうかは関係ありません。
引っ越しで壁や床を傷つけたり、ペットが柱を引っかいたり、タバコのヤニや臭いが染みついたりといった、借主の行動で生じた損傷は借主に責任があります。反対に負担しなくてよいものは、経年劣化や設備などの耐用年数を超えた場合に発生した不具合・損傷です。
たとえば、家具によるへこみや太陽光による畳の変色などが該当します。通常の生活において当然起こるだろうと予想される損傷以外は、入居時の状態に戻す費用(原状回復費用)が敷金からマイナスされると知っておきましょう。
礼金は基本的に返還されない
礼金は貸主への謝礼金であり、基本的に返金はありません。
ただし、入居期間が著しく短い(たとえば1か月程度で退去したなど)場合は、裁判にて返金されたという判例があります。
礼金の対価として、貸した期間が不十分だと判断されたからです。特殊なケースでは返還される可能性がありますが、通常の賃貸契約において礼金の返金は現実的ではないでしょう。
敷引(しきびき)契約に注意
賃貸契約において、敷金より原状回復費用として一定の額をマイナスすると定めた特約を、敷引契約といいます。
契約がある場合、修繕費などがかからないケースでも定められた金額は返金されない点にご注意ください。関西・九州地方では、敷金ではなく「保証金」としてお金を預け、敷引きされる場合もあります。
借主が負担する項目を確認しておこう
貸主によって借主の負担すべき範囲(敷金から控除される費用)が異なるので、契約前に「賃貸借契約書」や「紛争防止条例に関する説明書(東京都の場合)」の内容をよく確認しましょう。
入居時に気になる部分は貸主に報告しよう
入居の際に傷などを発見したら、貸主に報告したり、写真を撮っておいたりすると良いでしょう。
貸主が把握しておらず、退去時に修繕費を請求されるといったトラブル回避につながります。
まとめ
本記事では、敷金・礼金の基本や相場、返金の条件についてお伝えしました。敷金から控除されるのは未納家賃や借主による損傷への修繕費が対象ですが、貸主によって範囲が異なる可能性があったり、特約が定められているケースがあったりするので、賃貸借契約書を事前に確認してから契約にのぞみましょう。本記事が敷金・礼金について疑問を持っている方に届くことができれば幸いです。