賃貸物件入居時は火災保険には必ず加入しなければいけないの?

公開日:2023/02/01  


火災保険は、火災だけでなく自然災害や盗難などによる被害にあったときにも補償を受けられる保険です。賃貸物件に入居するとき、賃貸契約の条件として加入しなければならない場合もあります。契約の条件でなくても加入しておくことで、万が一のときに役立ちます。この記事では、火災保険の重要性や補償範囲、保険料の相場について解説します。

賃貸物件でも火災保険に加入すべきなのか

火災保険は、火災などの災害によって損害が発生した建物や家具・家電などを補償する保険です。賃貸物件の場合、賃貸契約書に火災保険への加入が条件として記載されている場合があり、入居時に加入することが多いでしょう。しかし、賃貸契約の条件として火災保険への加入が記載されていない場合でも、賃貸物件に入居するときには、加入しておくことをおすすめします。その理由を、3つご紹介します。

1つ目の理由は、入居者には原状回復義務があるからです。賃貸物件の入居者は、退去時に元の状態に戻して物件の持ち主に返す必要があります。そのため、家の中で火災を起こして建物に被害を与え、物件の大家からリフォーム費用などを請求された場合、その費用を負担しなければなりません。このとき、火災保険に加入していれば、請求されたリフォーム費用を補償してもらうことができ、自分で負担する必要はありません。

2つ目の理由は、自分の家具や家電が損傷したときに備えるためです。家の中で火災を起こし、家具や家電などが燃えてしまった場合、新しいものへ買い替えなければなりません。このとき、火災保険に入っていれば、家具や家電すべてが補償対象となり、自分で買い替え費用を負担する必要がありません。少しの被害では自分でも費用を負担できるかもしれませんが、自宅が全焼した場合、必要なものすべてを買い直すには膨大な費用がかかるため、火災保険に加入しておく方が安心でしょう。

3つ目の理由は、ほかの住人に損害を与えた場合の賠償責任に備えるためです。風呂の水を出しっぱなしにして下の階の部屋を水浸しにした場合などに、火災保険の特約の1つである、個人賠償責任保険に加入しておくと、賠償金を補償してもらえます。個人賠償責任は、飼い犬が他人にかみついて怪我を負わせた場合や、他人のものを壊してしまった場合などの日常生活における事故も補償できます。個人賠償責任保険は、自動車保険や傷害保険の特約としても選択できるため、すでに加入しているかどうかを確認してみましょう。

火災保険が補償してくれる範囲について

火災保険の補償範囲は、火災による被害だけではありません。落雷や台風による自然災害や、盗難など日常生活で生じる被害も補償の範囲に入っています。

自然災害による被害とは、落雷、台風などによる風災や洪水、豪雪や雪崩による被害などが挙げられます。具体的には、落雷によって家電がショートした場合や、台風や豪雪によって建物が損傷した場合などです。

日常生活で発生する被害としては、物体の落下や衝突による建物の損傷や、盗難による建物や家財の被害などが挙げられます。具体的には、ボールが飛んできて窓ガラスが割れた場合や、空き巣に入られたときに窓ガラスを割られ、私物を盗まれた場合などです。火災保険に加入していれば、火災だけでなく、防ぎようがない自然災害による被害や、日常生活で発生する損害に対しても補償を受けられます。

しかし、地震や噴火、津波によって生じた被害は補償対象外なので注意しましょう。地震や噴火、津波による被害に備えるためには、地震保険に加入する必要があります。地震保険は単体で加入することができず、火災保険と合わせてのみ加入できます。

火災保険料の相場は?

火災保険は、補償範囲や内容、保険会社によって保険料が異なるため、相場がどのくらいであるかを示すのは難しいですが、保険料の決まり方はどの保険会社であっても共通しています。火災保険の保険料は、補償対象の評価額、所在地や築年数、補償内容、保険期間や支払い方法、割引の5つの要素をもとに決められます。

補償対象の評価額とは、建物や家財の評価額のことです。火災保険は建物や家財が被害を受けた場合に補償する保険なので、一般的には補償対象を再調達する場合に必要となる費用を考慮して保険料を決めます。所在地や築年数は、台風が直撃しやすい地域か、雪による被害が発生しやすい地域なのかによって、被害発生率が異なるため、所在地も保険料を決めるうえで考慮されます。

また、保険会社によっては築年数によって保険料率が設定されている場合があります。補償内容は、どこまでの範囲を補償するのか、何に対して補償を設定するのかです。保険期間、支払い方法、適用される割引によって保険料が決まります。これらの5つの要素によって火災保険料が決まるため、自分に必要な補償を適切に選んで保険料を設定することがポイントです。

まとめ

火災保険は、火災による被害だけでなく、台風による建物の損害や、盗難による損害など、幅広い被害に対して補償を受けられる保険です。賃貸物件に入居するとき、火災保険への加入は義務付けられてはいませんが、契約書に加入を契約の条件とする文言が記載されている場合もあります。

加入が契約の条件となっていない場合も、加入しておくことをおすすめします。火災保険に加入しておけば、家の中で火災を発生させてしまった場合に、大家への賠償金や自分の家具・家電の買い直し費用などを補償してもらえます。補償内容が豊富なため、自分に必要な補償を的確に選んで万が一に備えましょう。

WRITER沢野圭太
埼玉県出身。不動産歴6年。
宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナーとしての視点で不動産情報を日々発信しています。
自身も不動産屋として接客の経験を持ち、本当に求められる安心できる不動産屋情報の発信に努めています。

おすすめ関連記事

サイト内検索

【NEW】新着情報

賃貸契約を結ぶ際、敷金や礼金、仲介手数料などが積み重なり、住まい探しは大きな出費となりがちです。この記事では初期費用を抑える方法やポイントをご紹介します。分割払いや交渉のテクニック、市場相場
続きを読む
ピロティとは、あまり馴染みのない言葉かもしれません。この記事では、1階部分が駐車場のピロティタイプの物件について特徴や注意すべきポイントについて詳しく解説します。不動産投資家や住宅購入を検討
続きを読む
賃貸でよく目にする「ハイツ」とはどんな物件なのでしょうか。この記事では、その意味やほかの名称との違い、特徴について解説します。ハイツのポイントを押さえながら、アパートやマンションとの比較も行
続きを読む