不動産売却にかかる税金の種類とは?税率の計算方法と特例の活用法を紹介

公開日:2024/07/15  

税金の種類

不動産の売却にはさまざまな税金がかかります。どんな税金を支払えばよいのか、事前に各種税金の仕組みを理解しておくことはとても重要です。本記事では、不動産の売却に伴う税金の種類や計算方法、税金負担額を減らす特例について紹介します。スマートな税務対策を知り、計画的な取引を心がけましょう。

不動産売却にかかる税金とは

不動産売却に伴う税金は、さまざまな要素から構成されています。以下では、不動産売却にかかる主要な税金について説明します。

印紙税

印紙税は売買契約書に必要な税金で、契約金額に応じて異なる税額が課されます。これは、売買契約書を正式に作成し、法的効力を持たせるために必要な税金です。売却価格が高額であるほど印紙税も増加し、契約書に対する税率が適用されます。

登録免許税

不動産の名義変更に伴う税金で、固定資産税評価額に基づいて計算されます。建物や土地1件につき1,000円ずつ課税され、名義変更にかかる手続きを行う際に支払われます。

住民税・復興特別所得税

売却によって利益があった場合には、住民税および復興特別所得税が課されます。不動産の譲渡によって生じた所得に対して市町村の住民税と復興特別所得税が課せられ、取得費用や譲渡費用を差し引いた譲渡所得の金額に応じて計算されます。

譲渡所得税

不動産売却で利益が出た場合に課せられる、最も重要な税金が譲渡所得税です。この税金は、事業所得や給与所得と分離して計算することから、分離課税と呼ばれます。

譲渡所得税における計算方法

譲渡所得税は「譲渡所得-特別控除額×税率」という計算式によって算出されます。以下では、具体的な計算方法を手順に沿って説明します。

譲渡所得の把握

譲渡所得税を計算するにはまず、売却で発生した譲渡所得の金額を計算する必要があります。売却価格から取得費用と譲渡費用を差し引いて、譲渡所得が算出されます。譲渡価額は不動産の売却額を指し、取得費用はその不動産を購入する際の支出(建物は減価償却後の価格)です。また、譲渡費用は売却に要した諸費用、たとえば仲介手数料などが含まれます。

特別控除額の差し引き

居住用財産の場合、3,000万円の特別控除など特例が適用される場合があります。この特別控除額は、課税対象となる譲渡所得から差し引かれます。特別控除の特例が適用されると、売却者が所得税を支払う際のベースが軽減され、節税のメリットが生まれます。

税率の適用

課税対象となる譲渡所得に対して税率が適用され、譲渡所得税が算出されます。税率は20%〜39%まで幅広く、不動産の所有期間によって変動します。所有期間が5年を超えると長期譲渡所得が適用され、税率は低くなります。一方で、5年以下の場合は短期譲渡所得として高い税率が適用されます。

不動産売却時に利用できる特別控除と軽減税率

特別控除や軽減税率といった特例を活用すると、税金の負担を減らせます。以下では、不動産売却時に利用できる主な特例について紹介します。

マイホームの3,000万円特別控除

売主が居住していたマイホームを売却する際には、3,000万円までの特別控除が適用されます。この控除は、売却によって得られる所得から3,000万円を差し引いて課税対象額を算出します。これにより、売主は得た利益の一部を非課税にできます。

マイホームの軽減税率の特例

マイホームの売却において、特別な条件が満たされる場合には軽減税率の特例が適用されます。通常の譲渡所得税率が20%〜39%の範囲にあるなかで、この特例により税率が下がり、税金の負担が軽くなります。条件や要件には注意が必要ですが、軽減税率の利用は売主にとってメリットが大きい制度の一つです。

居住用財産の買い換えの特例

居住用財産を売却して新たな居住用財産を購入する場合、一定条件を満たせば譲渡所得税を先送りできる特例があります。この特例により、売却した不動産の譲渡損失を次の居住用財産の取得費用に充てられます。譲渡損失の損益通算が可能となり、税金の軽減が期待できます。

まとめ

不動産を売却する際には、印紙税や登録免許税、住民税・復興特別所得税といったさまざまな税金が発生します。なかでも重要なのが譲渡所得税で、その計算方法は売却価格から取得費用と譲渡費用を差し引き、特別控除を適用し税率をかけるものです。マイホームの3,000万円特別控除や、軽減税率の特例などは、売主にとって大きなメリットとなります。税務の専門家と相談し、この特例を上手に活用すると、不動産売却時の効果的な節税策となるでしょう。

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WRITER沢野圭太
埼玉県出身。不動産歴6年。
宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナーとしての視点で不動産情報を日々発信しています。
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