家賃値上げの通告が届いた!拒否・交渉することはできるの?

公開日:2023/03/01  最終更新日:2022/11/29


家賃は入居したときの金額からずっと変わらないわけではなく、ある日急に、値上げの案内が届くことがあります。大家からの通知に借主が同意した時点で実行されるため、勝手に金額を上げられるわけではありませんが、突然の通知に戸惑う人も多いでしょうか。そこでこの記事では、家賃の値上げを通知されたときの対処法をご紹介します。

実は賃料値上げに借主の承諾は必要ない

大家が家賃の金額を上げるとき、借主に承諾を得る必要はありません。大家自身の収入を増やすことを目的とした値上げは認められませんが、値上げせざるを得ないきちんとした理由があれば、大家の判断で値上げを決められます。家賃が値上げされる理由は、3つあります。

1つ目の理由は、固定資産税の増税です。固定資産税は、土地や不動産の所有者が納付しなければならない税金です。固定資産税の額は、3年に1度見直されるため、そのときの土地や建物の評価額によって変動し、場合によっては税額が上がります。また、新築物件に数年間適用される固定資産税の軽減処置が終了したタイミングなどにも、税額が上がります。固定資産税が上がると、大家が納める税金の負担が大きくなるため、家賃の値上げを決める場合が多いのです。

2つ目の理由は、近隣の物件の家賃相場の上昇です。物件の周辺地域の開発が進み、大型商業施設や大学などが建設されると、その地域に住む人の数が増えます。その地域が人気になることに伴い、近隣の物件の家賃が上がります。そのため、家賃が低く設定されていた物件も、類似物件に合わせて値上げを行うのです。

3つ目の理由は、日本経済の変化です。日本の物価上昇や、消費税の増税なども家賃値上げの要因となります。大家が負担する管理手数料や共有スペースの電気代などの消費税も上がるため、家賃を値上げ決める場合が多くあります。このように、大家の費用負担がこれまでよりも大きくなる場合に、値上げされることが多いのです。

家賃の値上げ拒否・交渉はできる?通告時の対処法

家賃の金額が上がるとき、一般的に事前に通知書などで知らされます。このとき、借主は値上げに必ず応じなければならないというわけではありません。値上げに応じたくない場合、拒んだり交渉したりすることも可能です。では、どのような対処をすればよいのか、対処法を2つご紹介します。

1つ目の対処法は、値上げ後の家賃が適切な金額なのかを確認することです。大家に対して、近隣の似たような物件の家賃金額の提示を求めたり、家賃を値上げする事情を明記した資料などの提示を求めたりしましょう。家賃の金額を上げなければならないきちんとした理由があることや、値上げ後の金額が適切であることを説明してもらいましょう。そのうえで、必要に応じて金額や値上げする時期の交渉などをしましょう。

2つ目の対処法は、冷静に話し合うことです。納得できないからといって、完全に無視したり、けんか腰に接したりすると、大家や管理会社とのトラブルにつながる可能性があります。長く住み続けたい場合は、金額や値上げ時期の交渉などを冷静に行いましょう。借主と大家がどちらも納得できるまで、落ち着いて話し合うことが大切です。どうしても話し合いが進まない場合は、調停や裁判も検討しなければならないため、なるべく当事者同士の冷静な話し合いで解決しましょう。

値上げ拒否・交渉ができなかったときにやるべきこと

値上げに対する拒否や交渉ができなかったときにすべきことを3つご紹介します。

1つ目は、これまで通り家賃の支払いを続けることです。値上げに応じたくないからといって家賃の支払いを止めてしまうと、退去を求められる可能性もあります。自分が不利な状況にならないためにも、これまで通りの金額の家賃は支払い続けるようにしましょう。

2つ目は、消費者相談窓口などに相談することです。大家との話し合いで解決できなければ、専門家に意見を求めましょう。第三者に介入してもらうことで、話し合いが進展し、お互いの妥協点を見つけられる可能性も高まります。

3つ目は、引っ越しを検討することです。調停や裁判に持ち込むほど揉めるようであれば、引っ越しを検討する方がよい場合もあります。調停や裁判をするのにもお金がかかります。そこにお金をかけるよりも引っ越し費用に充てた方がよいでしょう。

まとめ

家賃は入居時からずっと一定とは限らず、固定資産税の増税や周辺の家賃相場の上昇に伴い、値上げされることがあります。ある日急に案内が届くことが多く、戸惑う人も多いでしょう。借主は、値上げに納得がいかない場合などに拒否もできます。納得できる理由をしっかりと説明してもらったり、どの程度の金額なら支払ってもよいのかを伝えたりなど、落ち着いて話し合いましょう。話し合いがうまく進まないときは専門家に意見を求めたり、調停や裁判を行ったりするという方法もあります。

しかし、調停や裁判にはお金がかかるため、あまりにも揉めるようであれば引っ越しも検討しましょう。まずは冷静な話し合いでお互いが納得できる妥協点を見つけられるように努めることが大切です。

WRITER沢野圭太
埼玉県出身。不動産歴6年。
宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナーとしての視点で不動産情報を日々発信しています。
自身も不動産屋として接客の経験を持ち、本当に求められる安心できる不動産屋情報の発信に努めています。

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